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#9「SEの技×魚愛」で糸島の海と人をつなぐ【糸島しごと】

更新日:2025年2月14日

#9 「SEの技×魚愛」で糸島の海と人をつなぐ

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【記事(PDF版)はこちら】(PDF:998KB)

松永拓也さん Matsunaga Takuya

システムエンジニア、魚さばき職人

1987年生まれ。小学校から高校まで福岡県北九州市で過ごす。九州大学大学院修了後、企業のシステムエンジニアとして勤務。結婚を機に2018年に糸島に移住。2021年から土日限定で魚さばきの副業を始め、二足のわらじで働いている。


平日は企業のシステムエンジニア(SE)として働き、休日には魚をさばく仕事に情熱を注ぐ―そんな独自の働き方で糸島の地魚の魅力を広める活動に取り組むのが、「ぎょぎょたく糸島」こと松永拓也さん。

幼い頃から釣りや魚が大好きで、自分で釣った魚や直売所で買った魚をさばき、刺身や姿盛りを作るうちに「魚をさばくことにどんどんハマっていった」と話す。きれいな海が身近にあり、都市部へのアクセスも良い糸島に移住し、仕事と趣味を融合させた働き方を実現。魚愛を軸に、さまざまなつながりを生みながら未来を切り開く松永さんの挑戦とビジョンを聞いた。


SE×魚さばき職人、二足のわらじを履いたワークスタイル


普段の仕事のスタイルや具体的な働き方について教えてください。



平日は企業でシステムエンジニアとして働いています。依頼主の要望を聞きながら、システムの設計や構築を行う仕事です。通常は博多にある会社へ出勤しますが、週に2日までリモートワークが許可されています。

会社が休みの土曜日は、副業として「ぎょぎょたく糸島」という活動名で魚をさばく仕事をしています。現在は主に、水産加工品の製造販売をしている「株式会社やますえ」から魚を加工する仕事を請け負っており、やますえの加工場で作業をしています。魚の仕入れがあれば土曜日の朝から現場に入りますが、やますえが扱う魚は、馬場社長(馬場孝志さん、株式会社やますえ代表取締役社長)が糸島の地魚を糸島漁協から直接買い付けるので、漁の状況次第では、仕入がないことも想像以上に魚が入ることもあります。

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糸島市の船越漁港で水揚げされた新鮮な真鯛。
この日は仕入れた90kg分の真鯛をさばくため、午前9時半から作業をスタート

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手伝いに来た漁師の奥さんに
注文に合わせたさばき方を丁寧に伝える


週末に仕事がポンと入ってくるんですね。



そうです。そのため、基本的に土曜日はスケジュールを空けるようにしています。ただ、僕はキャンプや家族旅行も趣味で、県内外のキャンプ場によく出かけます。そのため、出かける予定があるときは事前に馬場社長に連絡をして、魚の仕入れを調整してもらっています。

週末の予定に柔軟に対応していただけるおかげで、自然の中でリフレッシュしながら仕事にもしっかり向き合い、充実したワークライフバランスがとれています。

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専用のナイフを使って、真真鯛が次々と三枚におろされていく


やますえでの仕事以外に、「ぎょぎょたく」としてどんな活動をしていますか?



魚さばき教室を自分で開いたり、糸島で活動するいろんな団体とコラボして、魚さばき体験などのイベントを企画・開催したりしています。

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イベントで講師を務める松永さん。
糸島の伝統的な真鯛の漁法である
吾智網漁(ごちあみりょう)の紹介も


SEとしての経験やスキルが「ぎょぎょたく」の活動に役立っていると感じることはありますか?



SEの仕事では、聞いた話や情報を整理して形にします。その経験を生かして、「ぎょぎょたくとして自分が何をしたいのか」と、思いや考えを整理して一つずつ計画を立てる。そういった仕事の進め方が今の活動にも生きていると思います。

趣味から仕事へ、「ぎょぎょたく」のスタート


そもそも、どうして魚をさばくことが好きになったのですか?



独身時代、キャンプで釣った魚をきれいに切って盛り付けると、仲間が喜んで食べてくれました。その姿がうれしくて、盛り付けや野菜の飾り切りの練習を始めました。ホームパーティーでも喜ばれ、「これはいいぞ!」とますます夢中になりました。


なるほど。その後、「ぎょぎょたく」として活動を始めることになった経緯とは?



30代前半の頃、「このままSEの仕事を続けるか、それとも本当にやりたいことを仕事にするか」と葛藤した時期がありました。刺し盛り作りは趣味でしたが、海が身近な糸島なら、この趣味を生かして地域に根ざした働き方ができるのではないかと思い、糸島で魚に関する仕事を探し始めました。

とはいえ、サラリーマンを辞めることにはなかなか踏み切れず、まずは副業として週末限定で働くことに。その時に妻が、魚と僕の名前をかけ合わせて「ぎょぎょたく」という活動名を考えてくれて、二足のわらじでの働き方がスタートしました。


やますえで働くことになったきっかけは何だったのでしょうか?



2年ほど前、魚に関する事業者の集まりで馬場社長と出会い、馬場社長が自社の加工場で魚をさばく人を探していると聞きました。僕も魚をさばくことに特化した活動をしたいと考えていたので、いいチャンスだと思い、やますえの加工場で働くことを決めました。

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糸島の地魚をふんだんに使った松永さんの刺し盛り(販売:やますえ)


やますえの馬場社長とはとても仲が良いと伺いましたが、どのような部分でお互いに共感し、意気投合されたのでしょうか?



馬場社長も魚が大好きで、糸島の地魚を広く発信するために「何か面白いことをやっていこう」と、とても意欲的です。その「何か」を模索し続ける姿勢と、人のためになったらもっと良いよね、というポジティブな考えに共感し、心から協力したいと思いました。


感性が通じ合うんですね。



そうなんです。やますえで働き始めた当初は、馬場社長がほぼ1人で加工場に立っていたので、それを手伝いながら2人でずっと話をしていました。
僕は魚についてもっと学びたいと思っていたので、「社長が市場や漁港に行く時には、僕も一緒に連れて行ってください」「見学したいです」としつこくお願いして(笑)。

馬場社長の車に乗せてもらい、一緒にあちこちを回りました。市内の漁港から始まり、久留米市の魚市場、北九州市の魚市場、さらには福岡市の長浜鮮魚市場まで足を運び、最後はラーメンを食べて帰る―そんな魚行脚もさせてもらいました。移動中の車内でも、いろんな話をしましたね。

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「仕事仲間であり魚友達」だという
松永さんと馬場社長

活動の先に描く、糸島の海と人をつなぐビジョン


糸島への移住を決めたきっかけや、その理由を教えてください。



糸島には7年前、結婚を機に当時住んでいた福岡市から移住しました。住むなら海の近くがいいと思っていたので、きれいな海が身近にあり、都市部へのアクセスも良い糸島は理想的な場所でしたね。そのおかげで、二足のわらじを履きながら、趣味を仕事に生かす働き方が実現できています。


糸島という場所で活動する中で、特に魅力に感じる点や意義は何でしょうか?



糸島の魚を地元で買えるのはすごくいいことだと思います。糸島には直売所が多く、市場に出せない規格外の魚や、一般にはあまり知られていない地元ならではの魚が手頃な値段で買えます。スーパーでは出合えない珍しくておいしい魚が安く手に入るうえ、漁師さんの収益にもつながる。この流れがずっと続いてほしいです。

糸島の人に地元の魚のおいしさを知ってもらい、たくさん買って食べてもらうためにも、魚をさばける人を増やしたい。僕の活動が、少しでも魚に興味を持ってもらうきっかけになればいいなと思っています。


漁業を盛り上げたいという熱い思いをお持ちなんですね。松永さんご自身、漁師さんと交流する機会も多いのですか?



はい。姫島に行って漁師さんとお酒を飲むこともあります。漁の裏話や漁師さんの熱い思いを直接聞けて、すごく楽しいですね。イベントの会場などで漁師さんや魚に関する活動をしている人が声をかけてくれることもあり、魚をきっかけに人とのつながりが広がり、新たな活動にもつながっています。

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糸島半島の北西約4キロメートルの玄界灘に浮かぶ姫島。島民の多くが漁業に携わっている


「ぎょぎょたく」として、今後どのように活動を広げていきたいですか?



これまでは「自分に何ができるか」を模索する段階でしたが、今後は定期的なイベントを通じて、魚をさばく技術を広める活動に本格的に取り組んでいきます。
また、昨年から携わっている「ふくおかFUN」(ダイバー目線で海洋環境を守る団体)の活動にも一層力を入れ、魚食を通じて海の環境保全にも目を向けてもらえるような取り組みも進めていきます。

次にまた取材してもらえる時には、「ふくおかFUNでこんなことをしている」「こんな挑戦を始めた」という話をたくさんお伝えできると思いますよ。



魚をさばきながら丁寧に取材に応じてくれた松永さん。未来への展望を語る言葉には、情熱と強い意志がにじんでいた。これまでに培った経験と魚愛を軸にした松永さんの挑戦が、糸島の地魚と地域に新たな彩りを添えてくれるに違いない。

(2024年12月取材、文=榮鮎子 写真=渡邊精二)



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