コンテンツにジャンプ
糸島市 オフィシャルウェブサイト

トップページ > テーマで探す > しごと > #10 カレーでつなぐ子どもの未来と地域の温もり【糸島しごと】

#10 カレーでつなぐ子どもの未来と地域の温もり【糸島しごと】

更新日:2025年2月14日

#10 カレーでつなぐ子どもの未来と地域の温もり

itoshimasigotokiji10mori1.jpg

【記事(PDF版)はこちら】(PDF:2.9MB)

森裕美さん Mori Hiromi

まんまる食堂店主

1975年、長崎県生まれ。2児の母で「まんまる食堂」店主。給食調理員を経て、2012年にカレーの移動販売を開始。2年半後には前原商店街に実店舗をオープンする。糸島産の食材にこだわったカレーを提供する傍ら、子ども食堂も運営中。


「子どもを連れて働ける仕事がしたい」―その思いから、2人目の子どもが生後半年の時にカレーの移動販売を始めた森裕美さん。2015年には糸島市の前原商店街に古民家を改修した実店舗「まんまる食堂」をオープンし、地元糸島の食材にこだわったカレーを提供する。一方で、母親という視点から「子どもたちに何ができるか」を考え、2020年から「みらいチケット」の仕組みを活用した子ども食堂の運営も開始。

糸島の自然や人の温かさに支えられながら、働き方を工夫し、地域に根ざした活動を続ける森さんの挑戦と、未来への思いを聞いた。


仕事と育児、カレーと共に歩む日々


森さんは以前カレーの移動販売をしていたとのこと。
どのような経緯でカレーの移動販売を始めたのか教えてください。



2015年から糸島の中心部にある前原商店街で、「まんまる食堂」というカレーライスのお店を経営しています。店舗をかまえる前はカレーの移動販売をしていました。

1人目の子どもを出産するまでは、糸島市内で給食調理員として働いていましたが、赤ちゃんを抱えての職場復帰は、子どもの体調不良などで急な休みが生じかねないため難しいと感じていました。でも、調理の仕事を続けたいと思い、子どもを連れて働ける仕事を探した結果、カレーの移動販売にたどり着いたんです。

itoshimasigotokiji10mori1.jpg











地元の小学生が書いたメニュー表などが貼ってあり、温かみのある「まんまる食堂」


移動販売で大変だったことは?



移動販売を始めてから、いくつもの大変な経験をしました。特に印象に残っているのは、夏の暑い日にお客さんが1人しか来なかった日です。挫けそうになった時に「暑い中、大変やね。おいしかったよ」と声をかけてくれて、その温かい言葉に励まされて頑張ることができました。

また、移動中に前を走っていた車が急にブレーキをかけ、車内に積んでいたカレー鍋が全部ひっくり返った時は本当に辛かったです。鍋がスローモーションのように倒れていくのがバックミラー越しに見えて絶望しましたね。それでも帰って車を掃除しながら、「何があっても、子どもたちのために頑張ろう」と気持ちを奮い立たせました。必死だったあの頃があるからこそ、今の「まんまる食堂」があると思います。


どのあたりで移動販売を行っていたのですか?



最初は糸島市役所付近や、糸島市からのアクセスの良さを生かして博多の福岡合同庁舎やマリンメッセ福岡周辺で販売していましたね。その後、糸島の不動産会社の方から「駐車場を使っていいよ」と声をかけてもらい、約1年半その場所でお世話になりました。

移動販売から店舗をかまえた理由やきっかけは何ですか?



単に販売するだけでなく、お客様がカレーを召し上がる姿や表情をもっと間近で見たいという思いがありました。移動販売で少しずつお客さんが増えてきた頃、前原商店街内の古民家が空くという話を耳にしたんです。「ここだったら腰を据えて自分の思った仕事ができるかもしれない」と感じ、店舗をかまえることを決意しました。こうしたステップを踏むことができたのも、地域の方々の温かい支えがあったからこそです。

自分の店舗を持った時は本当にうれしかったですね。移動販売を始める際「3年以内に実店舗を持つ」と目標を立てていましたが、実際には計画よりも早い2年半後に現在の店舗をオープンすることができました。店内は設計士さんが移動販売カーをイメージしてデザインしてくださり、とても気に入っています。

itoshimasigotokiji10mori3.jpg










カウンター席の小窓は移動販売カーの
受け取り口を思わせるデザインで
厨房からお客さんの様子を見ることができる

地元の糸島食材を使い、子どもや妊婦さんにもやさしいカレー


カレー作りで大切にしていることは何ですか?



地産地消を大切にしています。糸島の食材の質の高さには本当に驚きました。特に糸島豚の甘みには感動しましたね。

実は授乳期にあまり食材選びにこだわらずカレーを試作した際、子どもが母乳を飲まないことがあったのですが、糸島産の食材を使ったカレーを食べた時は、たくさん母乳を飲んでくれたんです。糸島産の食材が新鮮で栄養が豊富だったからだと思います。それ以来、子どもや妊婦さんにも安心な地元食材を選ぶよう心掛けています。

itoshimasigotokiji10mori4.jpg










1番人気!地域のブランド豚を使用した
「糸島豚のカツカレー」
米やサラダ、調味料も地産地消にこだわっている


他にも何かこだわりはありますか?



食材ロスをなくし、いかにおいしく食べてもらうかを意識して過ごしています。朝起きて、真っ先に「今日の日替わり定食は何にするか」「あの野菜はどんな風に調理したらお客様に喜んでもらえるかな」と考えますね。旬の食材を使うことも大切にしています。

itoshimasigotokiji10mori5.jpg











大衆食堂を営む両親のもとで育ち
幼い頃から料理に親しみがあった

みらいチケットで広がる支援の輪


子ども食堂を始めたきっかけは何ですか?



移動販売をしている頃から、母親でもある自分は子どもたちに何をしてあげられるだろうと、常に考えていました。

コロナ禍で学校が休校になった時、給食がなくなり困っている家庭があることを知りました。お店で余ったお米を活用したかったですが、経営的に厳しい状況もあって…。そのような時、知り合いの方から「みらいチケット」という仕組みを教えてもらいました。


みらいチケットとはどういう仕組みですか?



みらいチケットは1枚200円でお客様に購入してもらい、店内のホワイトボードに貼っておきます。お腹を空かせた子どもたちがこのチケットを使うと、無料でカレーと交換できるという仕組みです。お客様が「未来ある子どもたちのお腹を満たしてあげたい」という思いで、チケットを購入してくれています。毎週5~6人の子どもたちが利用していますね。

itoshimasigotokiji10mori6.jpg












店内のホワイトボードには、みらいチケットを利用してカレーを食べた子どもたちの感想が書いてある


子ども食堂は、子どもたちにとってどんな場所でありたいですか?



お腹と心を満たす場所でありたいし、私もそうなるように動いています。本当に家に何もなくて、給食しか食べていない子がいるんです。子どもたちが温かい食事を家で食べられて、子ども食堂が必要なくなる世の中になってほしいですね。

「可能性は無限大」糸島の魅力と地域とのつながり


糸島に移住したきっかけは何ですか?



若い頃から糸島の空が好きで、辛いことがあると糸島を訪れて元気をもらっていました。だからこの土地には特別な思い入れがありました。縁があって空き家の話を聞いた時は「ぜひ住みたい」と、迷うことなく移住を決めました。


糸島で暮らして良かったと思うことは?



糸島に来て最初に良かったと感じたのは、近所の方が自分の畑で採れた大根を玄関に置いてくださっていた時です。食べてみると驚くほど甘くて、まるで梨のような味わい。この体験は、都会では味わえないなと、改めて糸島の魅力を感じました。庭の畑仕事も、近所のおじちゃんやおばちゃんが全部教えてくれたんですよ。

糸島の人たちの温かさに支えられて、より特別な暮らしになりました。移住者のお客様が店に来られた時は「糸島の人たちはみんなウェルカムな雰囲気だから、安心して暮らせますよ」とお伝えしています。


糸島で働き、挑戦を続ける森さんが人生で大切にしていることは何ですか?



「人とのつながり」と「感謝の心を忘れないこと」です。

自分の子どもが赤ちゃんだった頃、仕事と育児の両立に不安を抱えていました。小さな子どもを抱えていたら、「私には無理」と感じて、やりたいことを諦めてしまう方も多いと思います。でも、諦めないでほしい。周りには必ず助けてくれる人がいます。私自身も、たくさんの人に助けてもらいました。だからこそ「自分なんて」と思わずに、一歩踏み出してほしいのです。可能性は無限大。何よりも、自分のやる気次第で人生は大きく変わると信じています。その気持ちを忘れず、これからも感謝しながら歩んでいきたいです。

itoshimasigotokiji10mori7.jpg












「可能性は無限大」と、力強く語る森さん


これからの糸島での仕事と暮らしの展望を聞かせてください。



地元の生産者の方々の仕事の素晴らしさをもっと多くの人に伝えたいです。

例えば、「この野菜はこうやって料理するとおいしいですよ」といったアイデアを共有できる場やイベントがあれば、糸島の農産物の価値をより深く伝えられると思います。また、糸島には自然や地域の魅力がたくさんあります。その魅力を生かしながら、仕事と暮らしをバランスよく楽しんでいきたいですね。

糸島での暮らしが、たくさんの人にとって「新しい挑戦」として選ばれるきっかけになればうれしいです。


 
まんまる食堂では地元食材と地域の温かさを込めた一皿を提供し、多くの人々の心をつないでいる。
「可能性は無限大」―森さんが語る糸島での挑戦には、地域と共に未来を切り拓こうとする強い思いが感じられた。

(2024年12月取材、文=村上和世 写真=渡邊精二)



糸島しごとトップページへ戻る

お問い合わせ

経済振興部 ブランド政策課
窓口の場所:3階
ファクス番号:092-324-2531

ブランド推進係
電話番号:092-332-2080

観光振興係
電話番号:092-332-2080

注:電話番号の掛け間違いに、ご注意ください。

メールでお問い合わせ

このページに関するアンケート

情報は役に立ちましたか?
このページは探しやすかったですか?
このページに対する意見等をお聞かせください。

寄せられた意見などはホームページの構成資料として活用します。なお、寄せられた意見等への個別の回答は、おこないません。
住所・電話番号など個人情報を含む内容は記入しないでください。