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糸島空き家プロジェクトサークルの学生たち

No.119

糸島人 糸島人

(いとしまあきやプロジェクト)
糸島空き家プロジェクト

九州大学の学生の発想で
空き家に新たな価値を

 「きれいに直したいだけなら、プロにお願いしたほうがいい。学生の柔軟な発想を面白いと思ってくれるなら、ぜひ私たちに」̶̶ 。そう語るのは、九州大学のサークル「糸島空き家プロジェクト」の学生たち。建築を学ぶ学生を中心に88人が所属し、糸島を舞台に15年にわたり空き家の再生に取り組んでいる。

 同サークルでは、空き家を再び住める状態にするための改修のほか、地域の交流の場として活用するための改修も行っている。所有者から相談を受けると、丁寧に要望を聞き、空き家の活用方法を提案。その後、専門業者と連携しながら施工を進める。特徴は、学生ならではの自由な発想にある。例えば、地域資源や古材を利用し、使える素材はできる限り無駄にしないよう生かしながら空き家の改修を行っている。

 「古民家は、いま同じものを建てようと思っても、長い年月を経て生まれた風合いまで再現するのは難しい。貴重だからこそ、壊すのではなく生かしたい」と学生たちは話す。

 こうしたものづくりの現場は、図面通りに進むことは少なく、机の上では得られない学びがある貴重な場だ。そのため、学生が担う作業については人件費は受け取らず、材料費のみを空き家の所有者に負担してもらっている。

 活動する中で大切にしているのは、地域の人々と積極的に交流すること。空き家で作業をしていると、近所の人が声を掛けてくれることも多い。15年の活動で築いたつながりから、資材の提供や新たな相談を受けることもあるという。「いただいたものを、ものづくりで地域に還元したい」と話す学生たち。その真っすぐな姿が、地域との距離を縮めるきっかけになっている。

 こうした継続的な取り組みが評価され、令和7年度日本都市計画学会「九州まちづくり賞」を受賞した。学生主体で空き家再生に取り組み、地域住民や行政、企業などと連携しながら活動を続けてきた点が評価された。地域に根差した学生たちの挑戦は、糸島の新たなまちづくりの力として注目を集めている。

老朽部分の解体で出た屋根瓦を砕いて「たたき土間」として再生する様子

▲老朽部分の解体で出た屋根瓦を砕いて「たたき土間」として再生