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NPO法人 糸島ハートの会

No.114

糸島人 糸島人

NPO法人
糸島ハートの会

タオル帽子に思いを込めて
がん患者へつなぐ
「優しさの連鎖」

 抗がん剤治療の影響で、髪の毛が抜ける副作用に悩むがん患者は多い。糸島ハートの会は、そのような人たちが闘病生活で着用するための「タオル帽子」を、全国のがん患者や医療施設へ届ける活動を続けている。会には現在40人ほどが所属。月に1回集まってタオル帽子を一つ一つ手縫いで作っている。メンバーは、がん経験者やその家族、誰かのために活動したい人など、男女問わずさまざまだ。

 会が発足したのは2016年。代表の松崎さん自身が乳がんを患ったとき、誰かのためを思って縫われたタオル帽子が周りのがん患者の力になっていることに感銘を受け、4人の仲間とともに糸島で活動を始めた。発足以来作成してきた、手書きの応援メッセージを添えたタオル帽子は約5,500個。受け取った人から「突然の病気に心が追いつきませんでしたが、温かい気持ちになりました」など、お礼の言葉が届くことも多い。一方、タオル帽子を受け取った後、治療が落ち着いてから活動に加わったメンバーも。自分が受け取った優しさを次の誰かにつなげたいという思いがあるからこそ、ハートの会は10年近く活動を続けてこられたのだ。

 帽子作成の他にも、個別に相談に乗りがん患者に寄り添ったり、イベントを主催し支援を呼び掛けたりと、活動は多岐にわたる。ワークショップの講師を務める機会も多く、6月には福岡女子商業高校の授業で、およそ200人の生徒たちにタオル帽子の縫い方を伝授。授業終了後も生徒たちは取り組み続け、約1カ月かけて約200個の帽子と手書きのメッセージを作り上げた。こういった活動をSNSで知った人から連絡が来ることもあり、「ご縁がつながっていくことに感謝しています」と松崎さん。

 普段は会話をしながら帽子作りに取り組むため、がん患者やその家族同士のコミュニティにもなっている。心と心がつながることで、人と人とのつながりが生まれるようにと名付けられた「ハートの会」。「周りに必要とする方がいればお声掛けください」という松崎さんの言葉通り、これからも新しいつながりが生まれていく。

▲10月4・5日に開催された市民まつりにも出展した糸島ハートの会。「普段の活動には参加できないが、ぜひ応援したい」とブースを訪れた人もいるという