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前田和子さん(写真左)/大串幸男さん(写真右)

No.117

糸島人 糸島人

白糸の森
前田 和子(まえだ かずこ)さん(写真左)
大串 幸男(おおぐし ゆきお)さん(写真右)

「生きる力を耕そう。」を
コンセプトに
糸島の豊かな自然を
未来につなぐ

 白糸の山深くにツリーハウスの野外カフェやうどん店、体験型農園などが集まる「白糸の森」。これらを営みながら、「再生と復活」をテーマに、この広大な土地で里山の風景を取り戻す取り組みを行っているのが、前田さん・大串さん夫妻だ。

 2011年、飲食店を営んでいた前田さんは、第二の人生として「人が集う場所を作りたい」と、この土地を購入。飲食店の常連客や地域の人たちの手も借りながら、竹やぶの伐採、放置された杉林の間伐など、整備には7年の歳月を要した。放置された人工林を開墾する中で、人工的な自然ではなく、この場所ならではの里山の暮らしを取り戻したいと考えるようになる。「森のカフェを作ったわけじゃない」と語る前田さんが、放置林の現状・問題を知ってもらおうと、倒木もあえて残して作ったのが、ツリーハウスだ。訪れた人がドリンク1杯を飲むことが「間接的な間伐」となり、豊かな自然へとつながる仕組みとなっている。間引きをした後には、ドングリの木や落葉樹が植えられる。

 また、もう一つの柱である農業にもこだわりがある。野菜作りは未経験ながら、昔のままの土づくりと有機農法に挑戦。うまくいくまで十数年かかったが、今では米や麦・大豆などを育て、収穫した野菜や果物はカフェやうどん店で楽しんでもらえるまでになった。さらにこの畑では、定期的に「キッズファーム」を開催。農業や里山での活動を通じて、子どもたちは小さな発見と感動に出会う。「知らないことを知ること、理解することは、生きる力になる」と話す前田さん。「このような体験などを通じて、誰か一人にでもこの思いを届けられれば、里山の形を守る活動も次世代につながっていくと思う」。

 これらの取り組みが評価され、白糸の森は昨年12月、JR九州が主催する「九州観光まちづくりAWARD(アワード)2025」で大賞を受賞した。「コツコツやってきたことが認められ、これからやっていくことについても背中を押してもらっている気がします」と大串さん。「みんなで糸島の資源を守りたい」という思いは、これからも多くの人へ届き、豊かな森の未来へつながっていく。

▲うどん店では、農園でとれた旬の野菜の天ぷらを楽しめる