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【SDGs認知・共感促進事業】加布里小学校の取組を取材しました!
更新日:2025年2月28日
糸島市は令和5年度に「SDGs未来都市」に選定され、「糸島市SDGs未来都市計画」に基づく取組を推進しています。SDGsの達成には、市民・団体・企業など、皆さん一人ひとりの行動が必要不可欠です。
そこで、令和6年度から令和7年度にかけ、「SDGs認知・共感促進事業」を実施することとしています。
市内で活動する市民・団体・企業等のSDGsに関する取組を取材し、情報発信することで、SDGsに関する取組の“認知”と“共感”を促し、SDGsに対する市全体の意識を高め、一人ひとりの行動変容につなげていくことが目的です。
令和6年度は、市内の各小中学校における取組を取材しています。
「SDGsとよく聞くけれど、具体的になにをすればいいの?」と疑問を抱かれている方も、今回発信していく取組を参考に、身近な課題の解決に向けた行動につなげていただければと思います!
- 「SDGs未来都市」選定時のページは、こちら
【加布里小学校】野菜くずからの「堆肥づくり」と「紙リサイクル」に挑戦
山、川、海と自然に囲まれた加布里小学校は、市内で最も早く「校区一斉パトロール」を始めた校区で、地域のみんなで地域を守る活動を行ってきました。

学校教育目標には「加布里を愛し、たくましく生きる力を身につけた子どもの育成」を掲げており、5年2組では学校生活を通して独自に「堆肥づくり」と「紙リサイクル」に取り組んでいます。堆肥づくりにつながる家庭科の授業をレポートするとともに、2つの取り組みについてご紹介します。
米飯と味噌汁を作り、野菜くずをリサイクル
2024年11月18日、加布里小学校5年2組の子どもたちと主幹教諭の友池先生が、エプロンと三角巾を身につけて家庭科室に集まりました。家庭科の調理実習で米飯と味噌汁を作るとあって、みんなワクワクした様子です。

(写真:授業中は終始楽しそうな雰囲気だった)
まずは友池先生から、授業のめあてやポイント、流れについて話がありました。めあては「家でも鍋で米炊きとみそ汁つくり、後片付けまで、一人でやれる力をつけよう」です。先生はポイントとして「作り方」「仕事」「観察」「ゴミを出さない」の4つを挙げ、それぞれについて説明しました。この4つ目の「ゴミを出さない」ということが、5年2組で今取り組んでいる「堆肥づくり」に関連するポイントです。先生は「できるだけゴミを出さないようにしましょう。調理で出る野菜くずなどのゴミはリサイクルするので、細かく刻んで、最後にまとめて前に持ってきてください」と呼びかけました。

(写真:評価は「自分で考えて学んでるか?」「片付けまでやっているか?」「おいしく食べているか?」の3つ)
鍋で米を炊き、野菜入りの味噌汁を作る
子どもたちは5つの班に分かれ、教科書で手順を確認しながら、みんなで協力して調理に取り組みました。米飯は、米を洗って水と共に鍋に入れ、コンロで火加減を調整しながら炊きます。ガラスの鍋は中の様子が見えるため、「これって沸騰してるのかな?」「水分がなくなってきた」「中火ってこれくらい?」などと友達と声を掛け合い、慎重に進める姿が印象的でした。

(写真:先生の指導に頼らず、互いに教え合い、考えながら調理を進めていた)
味噌汁は煮干しでだしを取って、大根と人参、ねぎ、油あげを切り、だしで煮て味噌を入れれば完成です。手慣れた様子で包丁を使いこなす子がいれば、恐る恐る包丁を手にして「人参ってどうやって皮むくと?」と聞く子もいるなど、和気あいあいと作業を進めていました。
調理ゴミを集めて、「すてなんな君」に投入
米飯と味噌汁ができ上がった班から「いただきます」と元気に手を合わせて、食べ始めました。自分たちで作ったご飯をみんなで楽しく食べて、「おいしいね」と満足そうな笑顔になっていました。
(写真:米飯は班ごとに食感や味に違いがあった)
どの班も残すことなく食べ終わると、調理器具や食器を洗って後片づけをしました。調理で残った煮干しの頭とはらわた、野菜くずなどの調理ゴミは、前の机に置かれたザルに入れました。

(写真:クラス全体でビニール1袋分の野菜くずなどが集まった)
授業終了後、子どもたちはビニール袋に入れた調理ゴミを教室に持ち帰り、段ボールコンポストの「すてなんな君」に入れました。担当する子どもたちがゴミを入れて混ぜていると、他の子どもたちも集まってきて、様子を見ていました。すてなんな君の活動が、クラスに自然に溶け込んでいました。

(写真:ゴミを入れたら、慣れた手つきで下からしっかり混ぜていた)
先生インタビュー
5年2組でSDGsに関連する取り組みを担当する、主幹教諭の友池先生に話を聞きました。

今回の授業のねらいを教えてください。
- 大きく3点あります。1家庭科のねらいとして、主食である米飯と味噌汁を作る技能を身につけること。その他のねらいとして、2教科書を読み解きながら調理を進めること、3友達と関わり合いながら調理を進めることです。
今回の授業を含め、どのような実施計画になっていますか。
- 今回は調理実習の授業ですが、SDGsに関する一連の活動の一環としても位置づけています。
5年2組では、もともと2つのリサイクル活動に取り組んでいます。1つは、私が持ってきたJA糸島の段ボールコンポスト・すてなんな君による「堆肥作り」。もう1つは、不要な用紙の分別と回収による「紙リサイクル」です。
それらの実施においては、3つの段階があると考えています。 - ステップ1:課題に出会う段階
・「すてなんな君」と「不要な用紙の分別と回収」を、子どもたちの身近な環境に持ち込む
・関心を持った数名と一緒に、楽しく遊びのように活動してみる
・関心が学級の半分くらいまで広がった時点で、「全員で取り組んでみようか」と子どもたちに働きかける - ステップ2:活動の意義を見つけ、目的を設定する段階
・軽く取り組みながら、調べ学習や大人の話からリサイクル活動の意義を捉え、自分たちがやろうとしていることの価値を知る
・2つのリサイクル活動とSDGsのつながりを知る(自主学習で調べてきた子どもたちの力を大いに活用)
・各グループの活動の目標を設定する
例「12月までに全校に対して活動内容を伝え、協力してもらう」
「教室で作った肥料を、地域や下級生に使ってもらう」
「全学級から集めた紙ごみを、コミュニティセンターを通してリサイクルする」
(写真:取り組みの計画図(ロードマップ)を黒板に書いている様子)
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ステップ3:具体的に活動を進めていく段階
<すてなんな君>
〇発信
・同学年の学級に対して一緒に取り組むことを呼びかけ
・校内放送による全校に対する取り組みの啓発
・学級通信を利用した各家庭への呼びかけ
(取り組みに至った経緯、日常的な活動の様子を楽しく伝えていく)
・給食調理員さんへの協力の呼びかけ
・学級通信以外は、全て子どものアイデアで発信内容やプレゼン、放送原稿、アポイントを進めている

(写真:学級通信を通じて、各家庭に取り組みを紹介)
・できる範囲で家庭から生ごみを持ち寄る
・給食室の調理で野菜の皮が出るときにもらいに行く
・すてなんな君で作った肥料の有用性をプレゼンするため、植物の成長比較実験を行う(理科の学習の発展、理科専科教員の協力)
・啓発ポスターの作成と掲示(一定期間ごとに内容を変えて張り替え予定)
一連の取り組みに関して、子どもたちが関係各所へ事前にアポイントを取る。何かを申請するときの手順を学ぶ機会となっている

(写真:すてなんな君について紹介するポスターを作成し、廊下に掲示。ポスターは、タブレットでの作業が得意な子どもが全て自主的に作成している)
〇今後の見通し
・配布に使うパッケージの考案(ラベルを自作→有志で作成→投票で決定→量産)
・高学年の調理実習で出た生ごみの肥料化
・教室から出た給食の残食の肥料化
・本年度で活動を収束させるかを話し合う(児童会活動に引き継ぐか、6年生になっても自分たちで行っていくか、来年度の5年生にゆだねるかなど)
<紙リサイクル>
・同学年の学級に対して一緒に取り組むことを呼びかけ
・校内放送による全校に対する取り組みの啓発
・校内へのポスターの掲示

(写真:校内放送で取り組みを伝えている)
・各学級へ用紙回収用の箱を配布
・定期的に紙を回収
・回収した紙の計量と結果を記録
(写真:1回目にリサイクルする紙が集まったときに「重さ当て大会」を行った。このような小さな遊びも、関心を高めるための大きなポイントとなる)
・コミュニティセンターへ紙の持ち込みの許可を取る
・回収した紙をコミュニティセンターへ定期的に持ち込み、回収してもらう
(写真:コミュニティセンターに紙の回収を依頼)
・<すてなんな君>と概ね同じ
このテーマの授業は、どんな背景や問題意識があって行われたのですか。
- 公的な調査の結果から、子どもたちには社会に働きかける経験や、自分たちの力で社会を変えることができると感じる機会が少ないことが課題となっています。そこで、「自己有用感」や「自分で学びを進めていくことの楽しさ」「自分たちの働きかけで周囲に影響を与えることができること」を感じてほしいと思いました。その手段として、このリサイクルの取り組みが「分かりやすく、楽しく、継続的に進めることができる」と思い、取り入れました。
この授業をすることで、SDGsのどの目標達成につなげたいですか。
- 「4.質の高い教育をみんなに」「11.住み続けられるまちづくりを」「15.陸の豊かさも守ろう」あたりに該当すると考えています。ただし、ダイレクトに関係があるというよりは、将来的にそこにつながる土壌づくりをしている感覚です。
授業とSDCsの目標の結びつきを、子どもたちが理解するためにどのような工夫をしましたか。
- 大きく4つあります。1子ども向けのSDGsの本を教室に置くこと、2社会科の教科書に時々出てくるSDGsのマークに意識して触れること、3自主学習で一部の子どもが調べてきたことを、授業の中で発表してもらい、みんなで理解を深めること、4単元名を「5の2からはじまるSDGs」という名前にしたことです。子どもたちはこの授業を「総合の学習」ではなく「SDGs」と呼んでいます。
学びを通して子どもたちに期待することと、実際の手応えはいかがですか。
- 自分たちの興味によって、学校や地域など世の中に影響を与えることができるという実感を得て、自分が社会の作り手になり得ると感じてほしいと思っています。また、それぞれの得意なことを生かして、苦手なことはカバーし合って学習を進めていく体験をしています。何よりも、自分たちで活動を作っていっているのだと感じてほしいです。
(写真:隣りのクラスで「一緒にやりましょう」と呼びかけた)
- また、ICT活用の幅を広げてほしいという思いもあります。これまで学校でタブレットを活用するシーンは、個別課題に応じたドリル学習やタイピングの練習、状況に応じた交流などでした。どうしても先生の指示の範囲で、またゲーム的な活動の中での使用にとどまっていました。今回の取り組みによって、タブレットは人に何かを伝えるとき、例えばポスターや放送原稿の作成、プレゼンなどの道具として使えることを実感している子どもが激増しています。しかし、私からは活用についての具体的指導は行っていません。きっかけづくりや価値づけはかなり意識しましたが。「ここまで授業で扱ってきたタブレットが、こういうときに使えるんだ」という実感を得て、さらに自分から活用機会を発見してほしいと考えています。
この授業以降、SDGsの取り組みはどのように展開する予定ですか。
- 5年生が取り組みの型を作ったので、児童会活動(環境委員会、給食委員会、放送委員会、児童会総務など)の活動として引き継いでもらえないかなと思っています。ただし、指導者が「やらせる」という感覚では一瞬で形骸化し、取り組みの価値が大幅に減退していきます。「ここまでみんなが温めてきた取り組みを、この後どうするか?」を、子どもたちが考えられるようにしていくことや、それを学校全体で支えるための職員の共有も大切です。5年生の担任が心を込めて子どもたちと向き合い、先生方への根回しとして意義を伝えていくことが重要だと考えています。
子どもたちの声
- 調理実習で出た野菜くずをすてなんな君に入れて、かき混ぜました。野菜くずがムダにならなくて、堆肥にできるなんて、とてもいいなと思います。
- おじいちゃんが段ボールや新聞紙のリサイクルをしていて、それがSDGsにつながるのだと分かりました。
- 僕はすてなんな君のチームで活動しています。放送、ポスター、まぜる、給食室に野菜の皮をもらいに行くなど、それぞれ担当が決まっています。僕はタブレットを使うのが得意で、ほかのクラスや放送で、すてなんな君の取り組みについて紹介するときの原稿をタブレットで作っています。自分の得意なことを生かせて、みんなで協力して楽しく活動することができています。

(写真:タブレットに保存している資料を見せながら説明してくれた)



