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【SDGs認知・共感促進事業】深江小学校の取組を取材しました!
更新日:2024年11月19日
糸島市は令和5年度に「SDGs未来都市」に選定され、「糸島市SDGs未来都市計画」に基づく取組を推進しています。SDGsの達成には、市民・団体・企業など、皆さん一人ひとりの行動が必要不可欠です。
そこで、令和6年度から令和7年度にかけ、「SDGs認知・共感促進事業」を実施することとしています。
市内で活動する市民・団体・企業等のSDGsに関する取組を取材し、情報発信することで、SDGsに関する取組の“認知”と“共感”を促し、SDGsに対する市全体の意識を高め、一人ひとりの行動変容につなげていくことが目的です。
令和6年度は、市内の各小中学校における取組を取材しています。
「SDGsとよく聞くけれど、具体的になにをすればいいの?」と疑問を抱かれている方も、今回発信していく取組を参考に、身近な課題の解決に向けた行動につなげていただければと思います!
- 「SDGs未来都市」選定時のページは、こちら
【深江小学校】地元の団体と連携して、福祉の体験授業を実施

二丈エリアの中央に位置する深江小学校は、明治7年(1874年)に開校した歴史のある学校です。お祭りが脈々と引き継がれる地域で、伝統的に学校と保護者・地域が連携した教育活動が行われてきました。
毎年4年生が学んでいる「福祉」は、SDGsの複数のゴールに関連するテーマです。2024年度は地元の団体と連携して、初めて大規模な介護・高齢者体験授業を行いました。
授業の様子をレポートするとともに、参加した子どもたちの感想と先生のインタビューをご紹介します。
福祉施設と現場の仕事について知る

2024年9月9日、4年生を対象として、介護・高齢者体験授業が行われました。深江小では毎年4年生の総合の時間に、福祉をテーマとして、認知症サポーター養成講座などを行ってきました。
2024年度は、デイサービスと障がい者支援施設での交流、介護体験、認知症サポーター養成講座などを企画しており、その一環として、この体験授業が開催されました。
当日は、福岡県老人福祉施設協議会の西ブロック次世代委員会の19人の皆さんが授業担当メンバーとして参加されました。
「介護って何だろう?」「年を取るとどう変わる?」―。体育館に集まった4年生65人は、まず福祉の仕事や高齢者の心身の状態などについて、スライドを見ながら説明を聞きました。介護の現場で働くやりがいなども紹介され、子どもたちは真剣な表情で話に聞き入っていました。
キットを装着し、高齢者の身体の状態を体感

続いて、子どもたちは2組に分かれて、「高齢者体験」と「車いす・介護機器体験」を交替で各40分ほど行いました。高齢者体験の目的は、年を取ると体がどのようになるのかを実感することです。
子どもたちは高齢者疑似体験キットを身につけ、決められたコースを歩きました。ひとりずつ重りの入ったベストを着て、両手首と両足首に重りを巻きます。さらに、腰が曲がるように足と首をつなぐ器具をつけて、耳が聞こえにくくなるようにイヤーマフも装着しました。歩くときは、声掛けや誘導で介助する役割の人を決めました。

重りをつけるときから興味津々だった子どもたちは、準備して立つと「おー、まっすぐ立てない」「結構重いよ」などと感想を口にしていました。いざ歩いてみると、前かがみの姿勢でぎこちない動きになり、特に階段の上り下りは慎重にしていました。
子どもたちの体験が一通り終わった後、重冨校長が大人用のキットを装着して体験しました。子どもたちと同じアイテムに加えて、視界が悪くなるゴーグルも着用した校長は、「わあ、これは大変」と戸惑っていました。介助者に立候補する子どもが多く、校長は付き添いの子どもたちにサポートしてもらいながら、ゆっくりコースを歩きました。元の位置に戻ってくるとホッとした表情になり、「お世話してくれて、ありがとう」と子どもたちにお礼を伝えていました。
車いすを使うゲームと介護機器の操作に挑戦

車いす・介護機器体験は、介護する人がどんな機器を使って高齢者のお手伝いをしているのか知ることを目的としています。
前半は3グループに分かれて、車いすに載せたボール7個を落とさないように決められたコースを押していき、スピードと残ったボールの数を競うゲームで盛り上がりました。急いで走る人やゆっくり進む人など人それぞれで、特に段差のあるマットやスロープを通るとき、コーンをまわるときにボールを落としやすくなっていました。子どもたちは楽しみつつ、車いすを安定して押すことの難しさを感じているようでした。
後半は、グループ毎に3種類の介護機器を体験しました。自分で立ち上がることが難しい人の立つ・座る動作や移動をサポートする「ハグ」と、起き上がる動作をサポートする「リフト」に順番に乗ったり操作したりして、「意外と軽くて動かしやすい」などと話していました。また、福祉施設で利用される「インカム」(イヤフォンとマイクを使って会話ができる通信システム)を装着して、遠くにいるクラスメイトに指示を出し、指示が伝わっていることを確認していました。
体験に触発されて子どもたちが意欲的に質問

最後に4年生全員がそろい、授業担当メンバーの方々に向けて、お礼の言葉と歌が贈られました。最後に先生が「質問がある人は手を挙げて」と呼びかけると、子どもたちの手が次々と挙がりました。「認知症はなおるの?」「車いすが使えないのはどんなところ?」といった質問に、メンバーが丁寧に答えていました。予定時間を過ぎても質問が続き、子どもたちの意欲と関心の高さがうかがえました。
子どもたちの声
- ハグという機械を使えば、小さな子どもでもおじいちゃんやおばあちゃんを移動させてあげられることが分かりました。
- バリアフリーが大切なことを知りました。小さな段差でも車いすに乗っている人には大きなケガにつながるということも分かりました。
実際におじいちゃんとおばあちゃんの気持ちになって、重りをつけて歩いてみると、少し重くてきついなと思ったけど、おばあちゃんたちはこんなに辛いことを乗り越えているのがすごいと思いました。 - いろいろな道具を使ってみました。小さい子でも使えるハグという機械は、誰が乗ってもすぐに動かせる道具で、介護をしている人たちも楽にできるんだなと思いました。その後におじいちゃんとおばあちゃんの気持ちになって、おじいちゃんとおばあちゃんがどんなにきついかを知って、これからは自分の親やおじいちゃん、おばあちゃんのお手伝いをいっぱいしたいと思いました。
- 手や足に重りをつけて、腰を曲げて一周するときは、ちゃんと立てなくて腰を曲げたままで、おじいちゃんやおばあちゃんはいつもそんな風にしてるんだなあと思いました。私のおじいちゃんやおばあちゃんにも優しくして、歩くときに一緒に見守ってあげたいと思いました。
先生インタビュー
4年生の担任をされている石井先生に話を聞きました。今回の授業のねらいを教えてください。
- 大きく3つあります。まずは、介護体験をすることで、介護の仕事について興味関心を持つこと。次に、高齢者体験によって、高齢の方の不自由さに気づくこと。そして、介護体験や高齢者体験を通じて、困っている方に出会ったときに手助けをしたいという意欲を高めるねらいがありました。
今回の授業を含めて、どのような学習計画になっていますか。
- 今年度は、次のような8回の授業を予定しています。
- 動画を見て、高齢者や障がいのある人に関心を持つ。
- 高齢者や障がいのある人と出会い、交流する。(第1回交流会)
- 高齢者体験や介護体験を通し、介護の仕事への興味関心を高めるとともに、高齢者の不自由さに気づく。
- 認知症サポーター養成講座を受ける。
- 高齢者や障がいのある人と再び交流する。(第2回交流会)
- 認知症カフェ(オレンジカフェやマイレカフェ)で実践する(予定)。
- 高齢者や障がいのある人と交流する(予定)。(第3回交流会)
- まとめ
どんな背景があって、この授業を行われたのでしょうか。
- もともと4年生の総合の時間に、福祉をテーマにした授業を行っていました。認知症サポーター養成講座などもありました。ただ、コロナ禍にはなかなか体験ができなかったため、子どもたちの学びが深まらないと感じていました。
今回の授業は、福岡県老人福祉施設協議会の西ブロック次世代委員会の皆さんのご協力を得て、初めて実現しました。同協議会とは、以前から登校時の見守りや清掃活動で交流がありました。コロナ禍にはしばらく自粛していましたが、活動を再開するのにあたって「体験授業をしてみませんか」とご提案いただきました。協議会には、介護の仕事についてもっと知ってほしいという願いがあり、私たちの深い学びにしたいという思いと合致して、この授業を行うことになりました。
この授業によって、SDGsのどの目標達成につなげたいと考えていますか?
- 3「すべての人に健康と福祉を」、4「質の高い教育をみんなに」、5「ジェンダー平等を実現しよう」、8「働きがいも経済成長も」、10「人や国の不平等をなくそう」、11「住み続けられるまちづくりを」、16「平和と公平を全ての人に」など、多くの目標に関わってくると考えています。子どもによって学び方や感じ方は違うので、どの目標を達成できたとは言えないのですが、子どもたちの感想から見えてくると思っています。
授業をやってみて、どんな手応えを感じましたか。
- 今の4年生はコロナ禍で小学校生活を送ってきたため、体験活動の機会があまりありませんでした。今日の授業の様子を見ていると、子どもたちはとてもイキイキとした表情で意欲的に参加していました。実際に体験することで、介護の仕事や高齢者について、実感を伴ってしっかり学ぶことができていたと思います。最後の質問コーナーでは、たくさんの子どもたちが次々と手を挙げて質問していたことに驚きました。普段の授業では、なかなか見られない光景です。福祉の現場で働く方々に来ていただいて、いろいろ体験させていただいたことで、子どもたちはたくさんのことに気づき、疑問もわいてきたのでしょう。改めて、体験学習の素晴らしさを実感しました。
今後の取り組みと、学びを通して期待することについて教えてください。
- 今までやってきたことがSDGsの目標の達成につながっていると気づくように、また生活の中でも実践できるように学習を進めていきます。例えば、自分の意志で認知症カフェに行ってみたり、ボランティア活動に参加したりできるようになるといいなと思っています。
これからは多様性の時代になります。子どもたちがお互いを認め合い、みんなが過ごしやすい、まずは学級、そして学校、それから社会を創造していくことを期待しています。