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「井上絵画作品展」インタビュー
更新日:2019年5月16日
寄りそった指導による、確かな技術の作品展
今回は5月14日(火曜日)から5月19日(日曜日)まで開催中の、稲葉クラブ・絵画の会の2サークルによる合同作品展、「井上絵画教室作品展」をインタビューさせていただきました。
講師は井上公男先生で、月2回ずつ、約20名ほどの会員で行っています。昨年の展示会の様子は、こちら。
「ものの形・明暗をとらえる素描は正確に。彩色は大胆かつ個性的に」をモットーにしています。
作品は約50点程で、落ち着いた雰囲気の作品が丁寧に並べられています。
授業では、先生が用意したモチーフを元に絵を描いていきます。お花や果物など、よくデッサンの材料として用いられるものだけでなく、ピエロの人形など少し変わったものもあります。生徒の創作意欲を刺激するような題材選びは大変難しく、普段からアンテナを張り、いろいろな場所で適した素材を探しています。
メンバーには経験者も多い一方、まだ始めて数か月、数年の人もいます。
それぞれの絵の技術によって、教える内容も変わってきます。まず「正確にデッサンし、正しく描く」段階があり、それができるようになると「見たものを見たまま描くのではなく、それをどう崩していくか考えながら描く」段階に移り、正確に写し取るだけでなく、あえてそれを崩し、独自のものとする大胆さが求められていきます。生徒たちのレベルに応じた手厚い指導により、作品はどれも細部まで描きこまれた丁寧な作品に仕上がっています。
熱心な方は、同じモチーフを元に何枚も絵を描いているそうです。生涯を通して「薔薇」を題材に描き続けた中川一政を例にあげつつ、同じ題であっても、バックの模様、色使いなど様々な要素で絵全体の雰囲気が変わるため、何度も描いてみることも大事だと教えていただきました。
そうした絵の構成の一つである「背景」も、個性を大事にしながらも技術を磨く指導が活かされています。
先生いわく、背景の主張が大きすぎると題材を潰してしまうので、題材を引き立たせながらも馴染むデザインの背景作りが大事とのこと。
たとえば、人形が窓辺に腰かけている作品がありますが、実際に授業で用いられた題材は人形のみ。そこからメンバーそれぞれが想像力を膨らませ、個性ある絵画に仕上げています。
また、絵を描くときに重要なのは「同じ目線で描くこと」。同じものを見るときでも、上から見た図と下から見た光景では別物であり、その目線が混ざった作品には違和感が生まれてしまいます。デッサンの練習を繰り返し、上手く遠近感をとらえられるようになると、完成度がさらに高まります。
先生は、独特な山の形が特徴的な根子岳を描いた作品を出展。
横から見ると、キャンバスに絵具の塊が強く乗っていたり、空の雲にピンク色が使われていたりと、まさにモットーである「彩色は大胆かつ個性的に」という気概が見て取れるようです。
大胆に個性を活かしつつ、着実に高まっている技術を遺憾なく発揮した「井上絵画作品展」は19日(日曜日)まで。 ぜひ伊都郷土美術館にお越しください!
次回のインタビューは、5月下旬頃を予定しています。
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