美術館だより（令和4年度5月号）

ゆく春に

　きびしい寒さの冬を越え、桜の開花が日本で一番早い宣言でした。

　満開を迎えたころ、福岡城址へ数年ぶりにカメラを持って出かけました。

　新型コロナウイルス感染を警戒しながら、初々しい新緑の中、つかの間の散策を楽しみました。

　石垣に映える桜に見とれながら、足どりも軽やかに石畳の小路を歩いていると、しばらくぶりに見る景色は、枝垂桜が多くなった事や、石垣のツツジが少なくなったと感じ、昔の記憶に変化がありました。

　この風景を描きたい思いで撮影していると、数人の子ども達が真新しいランドセルを背負い、お母さんと坂道を登ってきました。入学式にはまだ早いなと思いながら見ていると、子どもたちは、カメラマンの前で「ワイワイ」とはしゃぎながら、自分の好きなポーズをとり、ジャンプで決める子どもがいて、元気いっぱいでした。

　我が子の門出を、美しい桜とともに記念写真や、映像に残す親の想いに、幸せな笑顔を忘れずに、成長されることを願い、心に残る一日でした。

糸島美術協会　徳富　佳子