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2月号「第65回展入賞作品講評」

更新日:2020年2月27日

糸島美術協会は、昨年12月28日、慎重なる審査会を行い、第65回糸島美術工芸展(主催:糸島美術協会 共催:糸島市教育委員会 後援:福岡県美術協会・糸島新聞社)の表彰式を去る1月11日に行いました。





今回の応募作品は、油彩、水彩、アクリル、鉛筆画、デザイン、工芸等の多岐にわたるジャンルで、いずれも甲乙付けがたい優れた作品で、見る人の心を動かす味わい深い作品ばかりでした。 年々応募される作品の質の高まりを感じる審査会となったことを報告しておきたいと思います。 これより公募入賞作品の講評(審査委員 吉丸泰生)を掲載します。
(以下、敬称略)

糸島美術協会賞 『破壊と絶滅』 山下かれん

  •  応募作品の中での最高賞が糸島美術協会賞です。長い歴史の中で、高校生の最高賞受賞はこの山下さんの作品が初めてです。
  •  芸術的な作品は、「何を、どう表現するか」「訴えたいことは何か」が大切になってきます。この作品には、この事が明確に表現されています。
  •  生きとし生けるものの生存が極めて危機的な状況にあると言う地球環境問題の解決を願っている作品だと受け取れます。
  •  右側半分には、ツシマヤマネコ(ネコ目、ネコ科に属するベンガルヤマネコの亜種。対馬だけに生息する野生のネコで絶滅危惧1A類指定。約10万年前に当時大陸続きから渡ってきた)と原子雲が描かれています。左側半分には、人間である私たち、否、山下さんが描かれ、魚のヒモノや散乱するゴミや空き缶の悪環境や拡大していく汚染状況が描かれています。 その状況を、見事なまでの明るい色彩とタッチで表現され、構成もよく吟味された作品に出来上がっています。


糸島市長賞 『麦秋』 本田 衛

  • 本田さんは、昨年は春と秋の半抽象的な対の作品を出され、心地よい感動を覚えました。
  • 毎年感心させられるのは、色彩が豊かで、綺麗な色づかいや丁寧な絵筆が走っていることです。年々表現力に磨きがかけられてきています。
  • 初夏の実りの色付いた麦畑と糸島富士の風景が上手く、切り取られています。見る人にとって、心洗われる・癒される作品にしあがっています。


 糸島市教育委員会教育長賞 『無否乱』(むいならん) 土井良宣子

  • 作品制作にあたって、十分なる時間を使い、構想をしっかりと練りあげた後に一気に筆を走らせた作品であると想像できます。
  • これまでの力強い迫力ある水彩での花々とちがって、今回は新たな挑戦としての墨彩での表現で、新しい境地を開かれた素晴らしい作品です。
  • 濃淡の墨と淡いピンクが絶妙に混ざり合う効果は見事な表現です。
  • 人間とは?人生とは?等の問いに迫る人生哲学的或いは宗教的な思索を感じさせる作品であり、鑑賞者としていろんな思いを想像できる作品です。


奨励賞 『おやつ まだ?』 中島祐子

  • あどけない可愛らしさ一杯の子どもを「斜めポーズ」で描かれたところは素晴らしいと思います。その「斜めポーズ」は、おやつを待つ子どもの心のうちにあるはやる気持ちが強く感じられます。
  • 対象としての子どもに向き合う中島さんの深い愛を、子どもの大きな瞳・くりくりとした眼の表現に、はっきりと感じることが出来る作品になっています。


奨励賞 『くらげのように××したい』 磯合音羽

  • 最近の水族館で見られるクラゲは、水槽の中でゆたりゆたりと泳ぎ、上に下に海水の流れに身を委ねて気持ちよさそうです。そんな雰囲気の伝わる海中の様子が上手く表現された作品となっています。
  • 磯合さんの表現したい想い・気持ちが、見る側の私たちに伝わってくる作品になっています。現代の複雑化した暮らしの中での人と人の関係での悩みや窮屈なスケジュールに追いまくられるストレスを抱える若い方々の精神状況に共感できそうです。時には縛られずに、何の精神的圧迫もなく自由に身を任せたいという願望が分かるような問題提起の作品であるようにも思います。 


糸島美術協会会員の入賞作品の講評は省略します。

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  1. 福岡県美術協会賞 川上幸太
  2. 糸島市議会議長賞 香川龍也
  3. 糸島新聞社賞   福田カズ子
  4. 会員奨励賞    木下登壮

スケッチについて → 制作のための準備、メモに当たるもの。他者撮影の写真で描くなかれ

  1. 観察力 全体と部分の関係(何を描きたいのか、どんなイメージで表現するか) 
  2. 写実力 細かく観察したものを表現できる技術 
  3. 構図力 構図をまとめる 
  4. 取捨選択力 
  5. 感動する心

糸島美術協会の目標

郷土糸島の文化向上 = 年2回の作品展・市教育委員会企画展や子どもアート教室開催等への支援と協力・写生旅行・実技講座を行うこと。
心豊かな地域づくり = 作品づくりを通しての交流・豊かな人間関係を大切すること。

今後に向けて

芸術活動は創造的活動であり、自己を表現し、対象と向き合い、豊かな感性・感覚を磨く営みです。さらに成長しようとする意欲と広い視野・豊かな感性・深い思考をもっての人間力を高める活動であり、自分の創造性で生まれた作品づくりを進めましょう。

この1年間の研鑽を積んで、第66回糸島美術工芸展への応募を期待しています。                 

(糸島美術協会理事 吉丸 泰生)

お問い合わせ

教育部 文化課
窓口の場所:新館6階
代表番号:092-323-1111
直通番号:092-332-2093
ファクス番号:092-321-0920

伊都郷土美術館
電話番号:092-322-5661

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