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アブラナ科野菜の根こぶ病について
更新日:2016年7月7日
アブラナ科の野菜にはブロッコリー、キャベツ、ハクサイなどがあります。
収穫後の根を引き抜いてみると、こぶが付いていませんか?
これは「根こぶ病」という病害です。
根こぶ病の症状
根こぶ病の原因は、根こぶ病菌によるもので、ネコブセンチュウによるものではありません。
土壌中にある根こぶ病菌の休眠胞子は、アブラナ科の植物の根が近づくと発芽し、根に侵入してこぶを作るため、養水分の吸収が阻害されます。
このため、症状が軽い場合は、日中に葉がしおれ、夕方にはしおれが戻ります。
症状が進むと、生育は進まず、ブロッコリーでは下葉が黄化したり、ハクサイでは結球が遅くなります。
激発ほ場では、しおれが戻らず枯死してしまいます。
出やすい条件
- アブラナ科野菜の連作ほ場
- 排水性が悪い過湿ほ場
- 高温期
- 酸性土壌
対策
- ポイント1:ほ場の排水性を良好にする。
- ポイント2:土壌診断結果に基づいた施肥改善を行う。
pH7.0から7.5の土壌で作付を行う。(けい鉄や苦土石灰の使用)
リン酸は過剰に施用しない。(過剰なりん酸は根こぶ病を助長)
窒素も過剰に施用しない。(過剰な窒素は土壌pHを下げる) - ポイント3:殺菌剤を合理的に利用。使用時はラベルを確認し、用法・用量を守って使用する。
- ポイント4:抵抗性品種を作付け。CR品種(根こぶ抵抗性品種)を利用する。
- ポイント5:発生しにくい作型の選定。激発ほ場では温度の高い時期の作付を避け、定植時期の遅い作付にする。
- ポイント6:セル成型苗を利用。
無菌培土を用いることができる。(苗ステージでの感染防止)
定植時の断根が無いため、切り口からの菌の侵入を防ぐことができる。
感染した場合の対処
- ポイント1:被害株は、水路などに捨てない。水系で病原菌が広がるので水路等に絶対に破棄しない。
- ポイント2:被害株は、抜き取って焼却処分する。感染した株を残したまますき込むと、病原菌がほ場に拡散する。
ナズナなどのアブラナ科の雑草も同様に、根ごと持ち出し焼却する。 - ポイント3:ほ場の根こぶ菌を持ち出さない、持ち込まない。
土によって病原菌が運ばれるので、ほ場で使った機械や道具は、ほ場で洗浄する。(水路で洗わない。)
作業を行うほ場の順番を考える。(根こぶ菌に汚染されたほ場は最後に作業) - ポイント4:アブラナ科以外の作物を作付する。
その他に、土壌物理性の改善やおとりダイコンやヘイオーツの作付(ただし、病害虫防除は必ず行う)などがあります。
今回の記事は、『糸島地区根こぶ病防除対策協議会』からのお知らせです。
『糸島地区根こぶ病防除対策協議会』は、福岡普及指導センター、JA糸島、糸島市農業振興課、アブラナ科野菜生産部会などからなる組織で、根こぶ病に対する防除対策を確立し、根こぶ病の撲滅を図るために活動しています。
対策や対処法の問い合わせ先
- JA糸島園芸振興課
電話番号:092-327-0436 - 福岡普及指導センター園芸畜産課
電話番号:092-806-3400