働く世代の健康チャレンジ事業　インタビュー「富士食品株式会社」様

働く世代の健康チャレンジ事業の取り組みの一つとして、健康づくりに取り組んでいる事業所へのインタビューを行っています。
第8回目は、富士食品株式会社　様
会社で実践している健康づくりの取り組みについてインタビューさせていただきました。

「作業の機械化×週休2日制×バドミントンで従業員が元気に働ける環境づくり」　
富士食品株式会社　様

会社概要

・企 業 名　 富士食品株式会社
・所 在 地　 糸島市多久819-12
・代表者名　代表取締役社長　井上　明
・設　  立　 昭和47年2月
・従業員数　80人
・事業内容　卵加工食品の製造販売


写真提供　富士食品株式会社

インタビュー内容

糸島市多久で卵加工食品を製造する富士食品株式会社では、80人の従業員が働いています。「従業員の健康があってこその会社」という考えのもと、作業負担を軽減する機械化や完全週休2日制の実現、月2回のバドミントン活動など、従業員の健康を第一に考えた職場づくりに取り組んでいます。今回は測定機器を使った健康への意識付けの様子と健康促進の取り組みについて取材しました。

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機器を使った測定

糸島市の「働く世代の健康チャレンジ事業」の一環として、昼休みの時間を利用し、血管年齢測定や骨健康度測定、肌年齢測定が行われました。健康運動指導士と糸島市役所の担当者が測定機器を持ち込み、希望する従業員が次々と測定を受けました。

骨健康度測定では、骨の健康度をAからEの5段階で評価。市の担当者は「骨の健康にはカルシウムを含む乳製品や干しエビなどの食品を取ることや、日光を浴びてビタミンDをつくることが大切」と話しました。

C判定やD判定が出る人が多い中、B判定という良好な結果を得た男性従業員は「趣味で野球をしています。運動もしているし、日光にも当たっている。期待していた通りの良い結果が出てホッとした」と笑顔を見せました。


バーを30秒ほど握るだけで、簡単に骨の健康状態をチェックできます

血管年齢測定は、モニターの指示に従って、年齢を入力し、人差し指をセンサーに置いて行います。測定時間は約30秒ほど。血管年齢と血管点数がモニターに表示され、結果が印刷されます。

測定を終えた従業員同士が「結果どうだった?」と声をかけ合い、会場は和やかな雰囲気に。一方で、思っていたよりも悪い結果にがっくりと肩を落とす人の姿も見られました。

市の担当者からは「規則正しい生活、適度な運動、そして食塩の取りすぎに注意しましょう」とアドバイスが送られました。


市の職員より結果の説明を受けます

特に女性従業員に人気だったのは肌年齢測定です。モニターに実年齢を入力し、画面の指示に沿って額や頬などに機器を当てて測定します。水分・油分や毛穴、シミ、しわなど、6項目の肌状態をチェックでき、実年齢との比較から肌年齢が分かります。

測定後は、健康運動指導士から普段のスキンケアや紫外線対策、バランスの良い食事についてアドバイスがありました。従業員からは「実年齢と肌年齢にあまり差がなくてよかった」と安堵した声も聞かれました。


画面を見ながら肌の状態を確認します

「普段、血管や骨のことを気にする機会がないので、良いきっかけになった」「骨健康度測定の結果があまり良くなかったので、カルシウムを意識して取りたい」など、測定結果を今後の健康管理に生かしたいと話す人もいました。

年代を問わず従業員同士が会話を楽しむ姿も見られ、測定の場が健康への関心を深めるだけでなく、職場のコミュニケーションの場にもなっていました。

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「会社で取り組んでいる従業員への健康づくり」について話を聞きました

井上　明さん（左）：代表取締役社長
久野　奈緒さん（右）：取締役　管理部部長

――会社の主な事業を教えてください。

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井上社長：鶏卵の加工食品の製造、販売を行っています。一番多く製造しているものは錦糸卵で、ちらし寿司や冷やし中華、冷麺などに使われています。最近はスクランブルエッグの需要も増えており、卵焼きではプレーンタイプの他に、明太子やネギが入っているものにも力を入れています。

納品先は、食品問屋や商社が中心で、そこからホテルや外食チェーン、お弁当店などに届けられます。業務用がメインですが、一部のスーパーでも取り扱いがあり、年末のクリスマスからお正月の時期は、多くのスーパーで当社の卵焼きが並びます。


糸島の新鮮なネギをたっぷり使った卵焼きと博多明太子を使用した卵焼き　
写真提供　富士食品株式会社

――従業員の健康管理で気になることや課題に感じているところはありますか。

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久野さん：製造工場なので大きな機械もあり危険です。事故がないように安全パトロールを行いながら安全第一で製造しています。作業内容によっては立ち仕事や同じ姿勢が続いたり、重いものを扱ったりすることもあり、腰への負担が課題です。そのため、腰痛対策を重視しています。

――具体的にどんな腰痛対策をしていますか。

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久野さん：「自分がしたくない作業は人にもさせない」という会社の考えから、ここ数年で作業の機械化・環境改善を進めてきました。また、同じ姿勢が続かないよう、交代制で作業を行っています。

井上社長：作業の機械化を進めたことで業務効率が向上し、売上は伸びつつも、人手をかけずに済むようになりました。

久野さん：2013年に福岡市から糸島市へ工場を移転しました。移転時に糸島で採用した従業員の多くが今も在籍してくださっており、年齢を重ねても安心して働ける職場づくりを目指しています。定年まで働いてほしいという思いで取り組んでいます。


安心して食べてもらえる商品を丁寧に作っています　
写真提供　富士食品株式会社

――機械化で作業がスムーズになったのですね。その他に従業員の健康を保持・促進するために取り組んでいることや工夫していることはありますか。

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久野さん：健康診断の結果や日常の会話を通じて、通院が必要な従業員には受診を促しています。後回しにしがちな健康管理をサポートすることも会社の役割だと考えています。また希望者による月2回程度のバドミントン活動を実施しています。社員の「たまには運動したい」という声がきっかけで2024年から始まりました。参加者は日によって異なりますが10人程度で、年代もさまざま。家族の参加もOKなので、高校生や大学生のお子さん、ご主人と一緒に参加する従業員もいます。終了後にはアイスを食べるのが恒例です（笑）。

井上社長：働き方の面では、基本的に定時退社です。忙しい時期でも残業は1時間程度ですね。プライベートの充実こそが良い仕事につながると考えており、有給休暇も積極的に取得できる雰囲気作りを行っています。

久野さん：例えば、土日に旅行に行くという従業員がいたら、有給を使って、観光客が少ない平日を勧めることもあります。休むときは休む、出勤したときはしっかり仕事をする、それぞれの時間を大切にしています。


仕事終わりにリフレッシュしながら、世代を超えて運動と交流を楽しんでいます　
写真提供　富士食品株式会社

――プライベートの充実につながりますね。これらは最初から会社の理念だったのですか。

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井上社長：元からというわけではなく、大きく変わったきっかけはコロナです。仕事がなくなって売上がガクッと減りました。助成金をもらいながら会社を休みにしましたが、その時に「休む」ことを経験したんです。

それをきっかけに、2021年から完全週休2日制を導入しました。以前は土曜日も稼働していましたが、社員と一緒にどうすれば週休2日制を実現できるか考え、仕組みを整えました。結果として、働き方の見直しや業務整理が進みましたね。

――取り組みをすることで、従業員や会社にどんな効果がありましたか。

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井上社長：若い世代の採用が増え、従業員の定着率も向上し、より働きやすい職場を目指すようになりました。

久野さん：子育てや介護をしている従業員も多く、急な呼び出しを受けた時は、仕事を代わってくれた仲間に「すみません」ではなく「ありがとう」と言って帰ってもらうようにしています。「お互いさま」と言える職場の雰囲気ができてきたと感じています。

――今後、従業員の健康づくりで目指すことを教えてください。

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井上社長：やはり従業員の健康があっての会社です。これからも体と心の健康を第一に、けがのない安全な職場づくりに努めていきます。働く人の健康が会社の基盤。その思いをこれからも大切にしていきたいです。

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