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株式会社アクアグローバルフーズの取組を取材しました!

更新日:2026年2月16日

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糸島の海を守り続け、後世へ残すための挑戦

  • 株式会社アクアグローバルフーズ 代表取締役 上野 慎一郎さん
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アクアグローバルフーズの上野社長

糸島市内でカキ養殖やカキ小屋を営む株式会社アクアグローバルフーズは、海を守るための活動やカキ殻の活用などに積極的に取り組んでいます。
福岡県第3期SDGs登録事業者として、廃棄物の徹底削減やカキ殻リサイクルなど、環境保全活動を実践。カキ小屋は地元住民や観光客で賑い、糸島全体で進められているカキ殻リサイクルの取り組みは、地域資源を循環させる仕組みとして注目されています。
今回は代表取締役の上野慎一郎さんに、海とともに歩む中で育まれた環境への思いと、50年先、100年先の海を守るための取り組みについて伺いました。

海を大切にすることが、すべての基本

取り組みを始めたきっかけは何だったのでしょうか。

  • 上野さん 事業をする中で、まず海を大切にすることを大前提に考えています。ずっとカキと向き合って、海で仕事をしていると、環境に敏感になります。
    カキ養殖をしているので、水産物の育成は経営に直結します。一番目に見えてわかるのは、海にゴミが浮いているところだと思います。そんな環境で育ったカキを食べたいと思うでしょうか。
    幼い頃から海とともに育ち、27歳で会社を始めてから15年以上事業を続けています。ずっと「きれいな海で過ごしたい」と感じながら仕事をしてきました。それがすべてのベースになっていると思います。

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SDGs宣言が掲示されるオフィス

廃棄物を「出さない」ための徹底した工夫

具体的にはどのような取り組みをされていますか。

  • 上野さん 社内では裏紙の再利用といった無駄をなくすことが基本として根付いています。カキの納品や仕入れに使う発泡スチロールは、消毒して再利用します。養殖に使うプラスチックパイプや針金、鉄くずなども分別・回収して、生産者や業者に戻し、同様に再利用しています。
    イカダのフロートも、カバーを付け替えることで中身の発泡スチロール部分は繰り返し使います。木材も組み替えて使い、新たな伐採を減らしています。自分が実践し始めたことで、周りにも広がっていきました。
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    再利用されている発泡スチロール容器

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    再利用のために保管されているフロート

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    分別した養殖資材

イカダの木材も再利用されているのですね。

  • 上野さん イカダも大体5~10年使いますが、年に1回、定期的に何台かずつメンテナンスします。その際に解体したものは、以前は捨てていましたが、使える木材は再度組み替えるようにしました。コスト削減になるだけでなく、新たに伐採する木を減らすことにもつながります。自分が実践し始めたことで、それを見た周りも同じように再利用し始めて、捨てることから再利用することへ意識が高まりました。ゴミを出すというよりは、出さないための事前の活動に力を入れています。

他の部署ではどのような取り組みをされていますか。

  • 上野さん 春日市にある自社の出荷センターでも、発泡スチロールや保冷剤など、再利用できる資材は全て再利用する仕組みにしています。分別ルールを掲示し、従業員全員で共有しています。
    カキ小屋「豊久丸」では、陶器やガラスの食器を使っています。コロナ禍の時期は感染対策で全て使い捨て製品に切り替えましたが、落ち着いてから徐々に元に戻しました。洗浄は大変ですが、やっぱりゴミを出すのは無駄だと思うんです。従業員も皆理解してくれていて、「紙のほうがいい」という声は今ではありません。うちはずっとこのやり方でやってきたので、文化として根付いています。毎朝の朝礼では5S活動(整理、整頓、清掃、清潔、躾)を唱和することで、自然と習慣になっていきます。

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組み替えて再利用されているイカダ

カキ殻を肥料に、そして建築資材など未来の活用に向けて

カキの養殖は、どのくらい時間がかかりますか。

  • 上野さん 種の状態から出荷できるようになるまで、1年以上かかります。そのため海水温や環境が変わると、すぐに影響が出てしまいます。だからこそ、海を守る取り組みは本当に大切です。

カキ殻の活用についてどのように進めていますか。

  • 上野さん 現在、糸島のカキ殻は全量、シーライムという肥料として再利用されています。糸島漁業協同組合(糸島漁協)が糸島農業協同組合(JA糸島)や大坪GSI株式会社と契約を結び、糸島市内のカキ小屋全体で取り組んでいます。私たちも組合員として、この取り組みに参加しています。
    元々カキ殻は燃えるゴミとして処理されていましたが、それを資源として肥料に使うという発想で始まりました。カキ小屋では、客席にカキ殻用とその他のゴミ用の2種類のバケツを設置し、お客様に分別をお願いしています。分別されたカキ殻を私たちカキ小屋事業者が糸島漁協設置の集積所へ運搬し、大坪GSIが回収・加工して肥料としてJA糸島へ納入する仕組みです。カキ殻の量次第ですが年間およそ600トン、糸島市内のカキ小屋から出るカキ殻の約7割を活用しています。

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糸島漁協が設置したカキ殻集積所

今後の課題はありますか。

  • 上野さん カキ殻自体の問題は、長期的に向き合い続ける必要のある課題だと感じています。この先ずっとカキ殻の肥料化ができるかは分かりません。
    そんな中、九州大学建築系研究院の研究で、福岡で資材を製造している福岡ILB株式会社との共同プロジェクトで、カキ殻を建築資材として活用する話があり、協力する機会がありました。カキ殻を粉砕してコンクリートに混ぜて加工し、ブロックにして建築資材にするというものです。その内容は九州大学の建築研究教育センターが出版した「建築で循環をデザインする」という本に掲載されました。
    他にも別の会社からカキ殻を漆喰にしたいという話がありました。カキ殻をこれからどう再利用していくか、一緒に考えていきたいと思っています。今後、長い目で見据えていくと、いろいろな活用法がある可能性を感じています。

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カキ殻活用について掲載された本

地道に取り組みを見せ続けることで、理解が広がる

取り組みを続ける中で、大変だったことはありますか。

  • 上野さん まず「捨てずに使う」取り組みを浸透させることが大変でした。発泡スチロールやフロート、養殖資材、木材などを再利用するためには、洗浄や分別の手間が増えます。当初は「洗うのが手間」「捨ててしまった方が早い」という声もありました。
    でも、出荷センターの責任者が「捨てない、使えるものは使う」と伝え続けました。ゴミを出すことを前提に考えるのではなく、最初から「出さないためにどうするか」を考える。その意識を共有することで、今では「捨てない、無駄にしない」が文化として根付いています。その積み重ねが、今の取り組みの基盤になっています。

周囲の漁業者への働きかけはどのようにされましたか。

  • 上野さん 最初は周囲の漁業者からなかなか理解を得られず苦労しました。言葉で伝えるだけでは反応も薄かったのですが、自分がイカダの木材を組み替えて再利用し始めたら、それを見た周りも同じように始めました。養殖資材の再利用も同じようにして広がっていきました。言葉で説得するより、実際にやってみせることが一番効果的だと実感しています。浸透させるのに時間はかかりますが、1年や2年じゃなくて、ずっと継続することで、周りも認めてくれるし、一緒に取り組んでくれるようになります。

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従業員によるカキ作業の様子

未来の世代に海を残すために、今できること

活動を続ける中で、うれしかったことはありますか。

  • 上野さん やっぱり「豊久丸のカキがおいしい」「海がめちゃくちゃきれいですね」って言ってもらえることが本当にうれしいです。
    イカダが浮いている沖合までは、おそらく糸島に住んでいる人もあまり見ることがないと思うんです。冬場の沖合は水深7、8メートルでも底まで見えるほど澄んでいます。このきれいな海を、これからもずっと守っていきたいですね。

海の環境を守るために、どのような活動をされていますか。

  • 上野さん 所属している福岡県漁協青壮年協議会では会長として活動しており、毎年7月を「クリーンアップ月間」と定め、漁場・漁港の清掃活動を実施しています。協議会は今年設立60周年を迎え、「守り受け継ぐ福岡の海」をスローガンに掲げています。環境保全と持続可能な漁業を目指して、さまざまな活動に取り組んでいます。

一般社団法人ふくおかFUNとも連携して取り組みをしていると聞きました。

  • 上野さん はい、ふくおかFUNは、海の環境保全活動を行っている団体で、アマモ場の保全・再生活動にも力を入れています。アマモは「海のゆりかご」と呼ばれる海草で、魚の産卵場所や稚魚の生育場所として欠かせない存在です。また、大気中の二酸化炭素を吸収する海の生態系「ブルーカーボン生態系」の1つとして注目されています。私たちも協議会としてブルーカーボン生態系の保全推進を軸に、アマモの植え付けや海岸の清掃活動、イベント開催などを通じた活動を行っています。
    特にマイクロプラスチック問題には関心を持っていて、啓蒙活動や海岸清掃でも細かいプラスチックごみの回収に力を入れています。こうした活動を継続していくことで、豊かな海を次世代に残すことにつながると考えています。

今後、この取り組みをどのように発展させていきたいとお考えですか。

  • 上野さん 今後もゴミを出さない取り組みを継続し、「全体のバランス」と「うまいサイクル」を大事にしていきたいです。
    「全体のバランス」とは、環境保全と事業の持続性のバランスです。環境も従業員も負荷がかかりすぎると持続できなくなってしまいます。全体のバランスを取り、海を守りながら事業も続けて両立していくことを考えています。
    「うまいサイクル」とは、全体のバランスを保つために無理なく回し続けられるサイクルのことです。リサイクルを活用すればコスト削減になるし、廃棄物も減り、環境にも優しい。従業員に関しても一人に負荷をかけないように作業を分担し交代しています。このような好循環を回し続けることを大切にしていきます。糸島の海を50年先、100年先もこの状態で残したいです。 糸島市のカキ殻リサイクルは全国的にも好事例として注目されています。2026年3月に、全国漁業協同組合連合会の集まりで糸島の事例を発表します。こうした活動が全国に広がってほしいですね。

最後に、この活動を通して伝えたいメッセージはありますか。

  • 上野さん 幼少の頃から父の仕事を見て、海の前で育ってきて、42歳になりました。甥っ子も一緒に働き始め、自分にも子どもが2人います。50年先、100年先の環境を後世に伝えていかないといけません。
    下水道や浄化槽の普及により、海は昔よりきれいになりましたが、海面上昇や温暖化は実感します。2025年は海水温の変化でカキの産卵が1ヶ月遅れました。1人の力は微々たるものですが、少しずつでもやっていって、その輪を広げていく。それが、未来の世代に海を残すために、今できることだと思っています。
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守られてきた澄んだ糸島の海

【企業情報】
企業名:株式会社アクアグローバルフーズ
創業:1998年
従業員数:54名(パート・アルバイト含む)
所在地:糸島市志摩新町549(新町漁港事務所)
主な事業:海面養殖業、海産物輸出入、卸、飲食店(カキ小屋「豊久丸」)

お問い合わせ

経営戦略部 企画秘書課
窓口の場所:4階
ファクス番号: 092-323-2344

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電話番号:092-332-2111

企画調整係
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行政改革推進係
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