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可也山の近世石切場跡(かやさんのきんせいいしきりばあと)

更新日:2025年6月2日

福岡県糸島市志摩師吉にある可也山の遺跡


 可也山は標高365m、糸島半島の北西部にある独立峰で、その優美な風貌から糸島富士などと呼ばれ、糸島市を象徴する山として親しまれています。その山塊は大部分が花崗閃緑岩からなりますが、山頂付近では火山活動で噴出した玄武岩が見られます。
 可也山の山腹に露出する良質の花崗岩は、近世初期を主体として近代に至るまで、各地の寺社などの石造物の石材として用いられたことが『黒田家譜(元和3年2月21日条)』『竹森家記』など、複数の近世の史料に記され、栃木県日光東照宮、江戸城紅葉山、福岡市警固神社、櫻井神社など、福岡藩が普請した有力社寺の石鳥居などの造立に使用されたことが文献史料からわかっています。
 特に元和4年(1618年)、黒田長政による日光東照宮大鳥居(近世の石鳥居としてはわが国最大級)の普請に際して、巨大な石材をこの山から切り出し、当地から日光まで運搬し、大鳥居を造立した顛末は著名な出来事として知られています。
 現在の可也山の山腹には、採石の際についた矢穴(楔痕)を残す石が数多く点在し、これらは特に頂上北側山麓の親山地区と頂上東側山麓の師吉地区の二か所の集中して分布しています。
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   花崗岩の残石に残る矢穴(師吉地区)      矢穴のある残石(黄色の×印)の分布図

 このうち、師吉地区には、近世初期に遡る楔痕を持つ残石が集中しています。現在、師吉地区の標高250m付近の登山道脇には、幅4.06×3.07×2.87m以上を測る直方体状の巨石があり、その縁辺に残る楔痕は幅が約10cm、深さが約10cmと大きく、可也山で確認されている矢穴では最も古相を示しており、考古学的な見地からも同地付近が近世初期に遡る石切場跡であったことが裏付けられます。
 以上のように文献・古記録類と考古学的な調査からも可也山の南東側、師吉地区が近世初期の石切場であったことが裏付けられます。近世初期における福岡藩の石材調達のあり方などを示す重要な史跡と評価でき、土木・産業遺産としても価値の高いものといえるため、令和7(2025)年3月に糸島市指定文化財に新規指定されました。
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    可也山 遠景

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    石切場 現況

周辺案内図

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