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株式会社へいせいの取組を取材しました!
更新日:2025年10月23日

住民と企業が共につながりを育てるまち「オリーブガーデン糸島」
- 株式会社へいせい 住宅部次長 潤 和也さん
- ムーンベース合同会社 役員 関口 智仁さん(九州大学大学院生)
住民の拠点となっているモデルハウス
糸島で総合建設業を営む株式会社へいせいは、2020年に新たな“まちづくり”に挑戦しました。
糸島市高田に誕生した全55区画の分譲地「オリーブガーデン糸島」は、SDGs目標「11.住み続けられるまちづくり」「13.気候変動に具体的な対策を」の推進を掲げ、住宅の外構ルールを設けた、糸島では新しいコンセプト型分譲住宅地です。引き渡し後も、企業・アドバイザー・住民が協力し、持続可能なコミュニティを育てています。まち開きから5年を迎えた現在、その成果や暮らし心地、今後の展望について、開発責任者の潤さん、アドバイザーの関口さん、組合役員をしている住民の方々に伺いました。
糸島で「家を買う」のではなく「暮らしを買う」ということ
「オリーブガーデン糸島」について開発のきっかけを教えてください。
- 潤さん 新たに55区画という分譲地を販売するにあたり、従来のようにただ販売して引き渡すだけでいいのか。地域に根ざす会社として、SDGsに社会貢献できる方法はないか模索しました。その時に九州大学の学生と地域をつなぐ活動をしていた関口さんを紹介していただき、宅地開発に地域コミュニティの視点を取り入れることになりました。
関口さんは学生と地域住民が集うカフェなどの経営で、地域活性化の取り組みを行っていますね。
- 関口さん 自分が学生寮に住んでいた経験から、学生と地域の交流を深めたいと考え、2018年からカフェ経営やイベントを中心に活動してきました。そのご縁で「オリーブガーデン糸島」のコンセプトワークに関わらせていただき、住民同士の自然なコミュニケーションが生まれるまちづくりを提案しました。

開発責任者の潤さん(左)と関口さん(右)
「オリーブガーデン糸島」のコンセプトで大切にしたことは何ですか。
- 潤さん まちの景観を統一し、コミュニティ形成を重視したまちづくりです。「家を買う」のではなく「暮らしを買う」ということを大切にしました。
- 関口さん 住民が楽しく暮らせる心地よさが、まち全体の資産価値を高めると考え、30年先の姿を意識しました。

「オリーブガーデン糸島」の街並みのCG
コミュニティ形成に特化した「フェンスレス」なまち
まちづくりの基礎となった宅地開発の内容について教えてください。
- 潤さん 明るく爽やかで開放感のあるカリフォルニアデザインで統一された外観とフェンスレスな街並みは「オリーブガーデン糸島」を象徴するものです。住宅の間の共用通路は回り道をせずに行き来できる設計です。外構には、壁面や窓、ポスト、ウッドデッキなど設置ルールを設けています。
住宅地にオリーブの木がたくさんあるのが印象的です。
- 潤さん オリーブは住宅地のシンボルとして公園や菜園、各戸の庭に植えています。二酸化炭素の吸収量が多く、温暖化防止に役立つだけでなく、みんなで収穫した実を加工品づくりに活かすなど、コミュニティ形成にもつながると考えました。
街並みや設備にも、安心して暮らし続けられる工夫が見られますね。
- 潤さん フェンスレスな街並みは見通しがよく、人の動きが明確です。また、住宅地を警備会社が定期巡回します。さらに災害時に備え、公園にはかまどベンチ、共同菜園には手動ポンプ式井戸を設置。全戸分の備蓄品を保管する防災倉庫もあり、安心して暮らせる環境を実現しています。
住宅の間にある共用通路
全戸分の防災備蓄品が保管されている
共同菜園にある手動のポンプ式井戸
前例のない宅地開発への社内の不安と理解
コンセプト型の宅地開発について社内の反応はどうでしたか。
- 潤さん 社内では当初、さまざまな意見があり、「フェンスがないのは大丈夫なのか」という声もありました。前例がなく根拠を示せない中、視察を重ね、関口さんに案をもらいました。
- 関口さん 私は当時まだ学生で、大人の事情は無視して大胆な提案をしました(笑)。その中で筋の通るものがいくつか採用されれば十分だと思っていました。
- 潤さん その大胆さが良かったと思います。実際に多くの案を採用しました。最後は「チャレンジさせてください」と訴え、社内が半信半疑の中、不安や心配を乗り越え迎えたまち開きイベントは、やっとスタートできた充実感と関係者との一体感を得られた、忘れられない出来事です。
お客様や営業スタッフの反応はどうでしたか。
- 潤さん フェンスレスや外構ルールの条件があるため購入を迷う方もおり、営業スタッフには葛藤がありました。お客様の要望を第一にする従来の販売姿勢とは真逆で、当初は拒否感も強かったです。ただ、ご理解いただいたお客様が増えるにつれ、スタッフも自信を持って説明ができるようになり、最終的には約3年で完売しました。
住み心地の良いまちを、みんなでつくる
「オリーブガーデン糸島」のコミュニティ形成において実践していることは何ですか。
- 潤さん 共同菜園や九州大学の学生と共同企画するイベントは代表的な取り組みです。子どもたちの学ぶ場「寺子屋」や、関口さんのアイデアで町内会費の支払いに合わせて期間限定でカフェを開き、住民同士が自然に顔を合わせる機会をつくっています。こうした取り組みにより信頼関係が育まれ、子育てや防災など日常生活での支え合いにもつながっています。
- 関口さん 月一回の役員定例会に同席し、会議内容をまとめた「オリーブ通信」を作成、LINEのオープンチャットで全戸に配信しています。役員がどう動いているかを共有して、不透明さをなくすことが目的です。
暮らしの中で感じる「つながり」や「安心感」はどんなものですか。
- 潤さん 周りに相談できる相手がいることが安心感につながります。売ったら終わりではなく、今後も皆さんと一緒にまちづくりに関わって、いつでも気軽に頼れる会社であり続けたいです。
- 関口さん 暮らしの中では嫌なことに目をつぶる無関心も大事で、我慢や強制ではなく、互いを許し合い受容することが大切だと思います。
- 潤さん 住民が集う菜園は、温かなつながりを育む象徴です。
菜園開きの様子
菜園の看板づくりワークショップ
新しいまち「オリーブガーデン糸島」~住民の声~

組合役員の藤田さん(左)と金丸さん(右)
フェンスレスなまちの暮らしはいかがですか。
- 藤田さん ご近所さんの顔が見える安心感と、親も子も人間関係が築きやすい環境だと感じます。
- 金丸さん 子どもたちが家の近くまで遊びに来て、交流が深まるのが魅力だと思います。僕は好きですね。
役員になってよかったと思うことはありますか
- 藤田さん 潤さんや関口さんに気軽に相談でき、一緒に考えてもらえるのが心強いです。
- 金丸さん 組合は始まったばかりで、ルールを一から作っています。関口さんに学びながら役員経験を積ませてもらっています。
住民の皆さんとの関わりの中で感じたことはありますか。
- 潤さん まちづくりのコンセプトを明確にしたことで、そこに価値を見出した住民の皆さまが「このまちを一緒によくしよう」という思いを持ってくださっているのを感じます。
- 関口さん 問題が起きても、皆さんがコンセプトに立ち返って対応策を考えているのがすごいです。自然と自主的な動きが生まれ、まち全体の資産価値を維持しようとする意識が高まっています。
10年後、20年後の「オリーブガーデン糸島」をどんなまちにしたいですか。
- 組合員一同 子どもたちが成長して出ていった後も、帰省のたびに再会を喜び、縁が絶えない関係が理想です。住宅地に小さなお店ができ、ご近所同士で菜園を楽しむなど、交流が自然に育まれていくことを願っています。
- 潤さん 今後は、糸島市内の他地域でもこの取り組みの経験を活かした宅地開発を計画しています。人と人が気持ちよく暮らせる糸島らしいまちづくりを目指しながら、SDGs目標「住み続けられるまちづくり」にもつながる活動を、住民の皆さまと共に進めていきたいです。
子どもたちが描く将来のまち
【企業情報】
企業名:株式会社へいせい
創業:1947年
従業員数:149名
所在地:糸島市前原西5-1-31
主な事業:総合建設業(土木・建築・住宅・不動産・リフォーム・ハウスクリーニング)



