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「有吉歸雲inいとしま」インタビュー

更新日:2019年8月19日

人生から成る作品で訴えかける書展覧会

今回は8月6日(火曜日)から8月12日(月曜日)まで開催されている「有吉歸雲書展inいとしま」をインタビューさせていただきました。
  
書道教師としての生活を終え、自分を見つめ直しながら書を続ける有吉聰さん(雅号・歸雲(きうん))による個展です。 昨年度も伊都郷土美術館で個展を開催した他、有吉さんを含む三人での展覧会を開いたこともあります。その際のインタビューはこちら

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手前の展示室は今まで書きためた作品、奥の展示室は、「さんげ」をテーマに生きることについて考えた作品のスペースとなっています。

8月6日・9日の原爆投下が行われた2日間を含む展覧会だからこそ設けられた、平和を考えるコーナー。主に、「原爆歌人」とも呼ばれる正田篠枝が歌った作品や、自分で詠んだ歌が飾られています。
以前に入院していたとき、正田篠枝の「大き骨は先生なり あまたの小さき側にひろひて あつまりてある」という歌を新聞で見かけ、とっさに便箋の裏表紙に書きつけたほどに感銘を受けたそうです。今回の展示会のテーマともなる「さんげ」は、この正田篠枝が出版した歌集『さんげ』、今では読み方が変化し「ざんげ(懺悔)」となった言葉です。
  
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真っ赤な背景、いのちという文字を囲むように書かれた文字のデザインが印象的なこちらの作品も、原爆の悲惨さを歌った歌詞。無慈悲で残酷な現実を描いた歌と向き合いながら、その思いを書として訴えています。

一方、手前の展示室には、今までの書き溜めた作品が並べられています。
同じ文字を書いても決して同じ作品はできない、と断言する有吉さん。たとえば材料一つとっても、墨には、ナタネ油から作られる「油煙墨」、松から作られる「松煙墨」というものがあり、馴染ませる顔料の差、筆の動き、あらゆる部分で変化が生まれる様は、まるで「味付けを変える」ようだと言います。
 
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また、書を鑑賞する際に、「書を『読む』必要はない」と教えていただきました。
書の文字は大きく形を崩れていたり、古い書体が用いられていたりと、簡単に判読できないものが多くあります。しかしそれを読みこんで理解しなければいけないということではなく、違う文字だと捉えたり、形がまるでなにかの物体に見えたり、そうした見た瞬間の発想こそ大事だと言います。「文字」と「絵」、両方の属性を持つ書には、読む・見るだけではない独特の魅力が生まれています。
 
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有吉さんの作品作りは、美しいものを見た感動、衝撃、訴えたいものなど、心の揺れ動きから始まるとのこと。だからこそ、「書以外から得た経験」こそ大事だと語ります。それは仕事であったり、日常の出来事であったり、友人関係であったりと様々ですが、自分の経験を豊かにすることが、書を生み出すにも必要なこと、と感じているようです。

奥の展示室には、「魚は水に帰れ 草木は土にかえれ さて人間は」という自作の歌もあります。人間はどう生きて、どこへ行くのか、そんな哲学的な問いの答えとして、「自分は雲に帰る」ことを考えており、雅号の由来ともなっています。
無心で書かれた一つ一つの書に、豊かな経験と、生への問いかけが潜む書作展、「有吉歸雲書展inいとしま」は8月12日(月曜日)まで。ぜひ、伊都郷土美術館にお越しください。
 
 
次回のインタビューは8月23日頃に更新予定です。
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お問い合わせ

教育部 文化課
窓口の場所:新館6階
代表番号:092-323-1111
直通番号:092-332-2093
ファクス番号:092-321-0920

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