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美術館だより(令和6年3月号)
更新日:2024年3月15日
憧れの地へ
伊都郷土美術館に勤務するようになり、彫刻家で画家の原田新八郎氏の作品を知りました。
一階の展示室は一般の利用がない期間、常設展として原田氏の油彩画・水彩画を1~3集に区分けして展示していますが、その中で私が好きな作品が第2集に収められたベルギーのブルージュを描いた3点の風景スケッチ画です。
この作品は、原田氏が半世紀以上前にヨーロッパ各地を旅された時に描かれたものと思います。
ブルージュは、中世のころに運河を利用して貿易で栄えた都市と紹介されており、天井の無い美術館や博物館と称されています。
その絵を見る度に自分の中で中世の街並みなどの様々な想像がふくらみ、いつの日か行ってみたいと思うようになりました。
そして数年後、ブルージュ旅行に行くことになり夢のようでした。
自分の目で見たブルージュは、私が想像していた以上に中世の佇まいを残した街並みで、
運河に囲まれたレンガの城壁と石造りの建物、そして狭い石畳の路地の先には、古い商店街や教会など地元の人々や観光客で賑わっていました。
当日は雨模様の日でしたが運河で船を巡り、アーチ形の古い石橋をくぐり抜けた先は中世の面影さながらの風景でした。
夕方散策中に小さな書店に入り、様々な本の中から18~19世紀のブルージュを描いた画集を見つけ、迷いもなく購入しました。
旅行に行ったのは春だったので、ブルージュだけではなくベルギーの各所でピンク色の可愛いライラックの花を目にしたことから、帰国後は自宅の庭にライラックを植え、毎年春になると、ピンク色の花をつけてくれます。
その花も、ブルージュの書店で購入した画集とともに旅行の良い思い出になりました。
美術館で出会った絵画から旅心を刺激され経験できた、素敵な旅行でした。
今も伊都郷土美術館には、他の絵画作品と共に原田新八郎氏のブルージュ絵画が額装されています。
糸島美術協会 徳富 佳子
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